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時計選びのヒント「し」

TOMPKINS 水戸

あっという間に9月も折り返しとなりましたが皆様いかがお過ごしでしょうか?

日中の気温上昇も落ち着きを見せ始めていますので、秋までもう少しですね



さて、本日の時計選びのヒントは「し」となります

今回のキーワードは “ 出身国はどこ? ” です



時計好きな方なら皆様ご存じの通り、高品質な時計の多くはスイスで製造されていて、TOMPKINSで取り扱いのあるブランドもその全てでスイスメイドと謳われています

200年以上の長きにわたって高品質な時計を製造しているスイスではありますが、その技術力を見込んで世界各国の軍や組織、時計店などが様々な時計を注文してきた歴史があり、それら時計の一部は今も誕生当時の特徴を受け継いで製造が続けられているのです

今回はスイスメイドでありながらスイス以外の国との関わりで生まれ育って有名となった経歴のある時計たちをご紹介します


出身国その①:フランス
スイスの西に隣接するフランスはそもそも多くの時計師を輩出しており、16世紀末の宗教改革による弾圧から逃れるかたちでスイス西部に時計師が集まって産業が興ったという歴史があります
また、パリは19世紀末から1910年代までベルエポックと呼ばれる世界的な文化の中心地となっていましたが、ほぼ時を同じくして20世紀初頭に腕時計が生まれていたこともあり、装飾品としての腕時計の発展に多くの影響を与えていたと思われます
特にカルティエは20世紀前半にサントスやタンクなどの数々の名作を生み出し、デザインの面でその後の腕時計の可能性を大きく広げたと言えますね

代表的な時計
カルティエ全般、シャネル全般


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個性的ながらどのシリーズももれなく優雅さを感じさせるデザインのカルティエ


出身国その②:イタリア
イタリアはスイスの南に面していて産業としての時計製造は発展はしなかったものの、古代ローマの時代まで遡ることができるヨーロッパ随一の文化的厚みがあり、ひとたび製作に関わればイタリアならではの個性が発揮されることとなります
1990年代から現在に続く機械式時計、特にダイバーズウォッチやクロノグラフなどのスポーツウォッチをファッションに取り入れるという流行を生み出したのも彼らであり、イタリアのエッセンスが加わった時計はパネライやブライトリングなど印象的なモデルが多いです

代表的な時計
パネライ全般、ブライトリングのクロノマット、IWCのポートフィノとダ・ヴィンチ


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ミリタリーウォッチをデザインしてもパネライのようにファッション性が高いものが出来上がるのがイタリアらしいですね





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左のポートフィノは海辺のリゾートでバカンスを楽しむイメージで、右のダヴィンチはルネサンス期の古典的な美しさを追及したデザインとして誕生しました




出身国その③:ドイツ
ドイツはフランス同様に伝統的には時計製造が盛んな地域でしたが、スイスに産業の中心が移ってからはその陰に隠れてしまいました
TOMPKINSでは取り扱いはないものの、現在では東西冷戦終結後に生まれた有名なドイツブランドが複数存在していて、そのつくりはスイスの時計以上に実用面に重きを置く特徴が見られます
IWCでは第二次世界大戦中にドイツ軍の士官向けに航空用クロノメーターとしてビッグパイロットウォッチを製造、その精度は現在のものと比べても遜色なかったと言われています

代表的な時計
IWCビッグパイロットウォッチ


出身国その④:イギリス
大航海時代から優秀な時計師を生んでいたイギリスも、19世紀以降は後発ながら大量生産にも上手く対応したスイスにその地位を譲ることとなりました
IWCは前述のビッグパイロットウォッチとは別にイギリス空軍にもパイロット用の腕時計を納品していましたが、こちらはより長きにわたり継続して製造され、現在でもマークシリーズとして定番商品となっています

代表的な時計
IWCマークシリーズ


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左はドイツにゆかりのあるビッグパイロットウォッチ、右はイギリスで用いられたマークシリーズから派生したパイロットウォッチ・スピットファイア
第二次世界大戦では敵対した国同士の航空時計たちです



出身国その⑤:アメリカ
スイスやイギリスの時計製造技術が持ち込まれた後、19世紀中頃には懐中時計の大量生産でヨーロッパの国を追い抜くほどの勢いがあったアメリカですが、産業としては第二次世界大戦後には終焉を迎えてしまいました
アメリカ発信の時計としては、20世紀の超大国らしく当時の最先端産業であった航空界・宇宙産業との関わりで伝説的なモデルが生まれています

代表的な時計
ブライトリングのナビタイマー、オメガのスピードマスター

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有名なナビタイマーはアメリカにある国際オーナーパイロット協会(通称AOPA)の求めに応じて1952年に開発されました



紹介したうちイタリア以外は自国で時計製造をしていた歴史もあったので簡単な説明も加えてみましたがいかがでしたか?

しかしながらこうして様々な時計が生まれている経緯を見てみると、スイス時計もその他の国の需要があってこそ今の地位を築けているということに気付かされますし、当然その期待に応える技術力を持ち続けていることは素晴らしいと言えますね

現在お持ちの時計やこれから手に入れたいと思っている時計のことをより深く知ろうと思った方は、その時計がどんな国や人の求めに応じて誕生したのか調べてみるとより愛着が増すと思いますよ