TOMPKINSブログ

時計選びのヒント「せ」

TOMPKINS 水戸

10月も後半となり朝夕は日に日に冷え込みが強くなっていますね


時計選びのヒント46文字目の「せ」に選んだキーワードは

“ センターセコンド vs スモールセコンド ” です


腕時計の世界には付加機能のために多数の針が付いたものも存在しますが、最もオーソドックスな仕様が時分針に秒針が備わったいわゆる “3針” タイプの時計です

時刻の表示のみに機能を絞っているため読み取りが容易で、飽きの来ないシンプルな見た目やメンテナンス性の高さなど必要充分な条件をクリアしているため昔から多くの人に愛されています

さて、そんな腕時計の基本とも言える3針時計ですが、ブランドを横断して比較していくと秒針が文字盤中央に付いた “センターセコンド” タイプと、小さな秒針が時分針とは別の位置に付いた “スモールセコンド” タイプがあることに気付くでしょう

それぞれにどんな意味合いがあるのか、今回は順におさらいしてみたいと思います


センターセコンド
メリット :時刻の読み取りに優れる(主に秒針)
      すっきりとしたデザイン
デメリット:最も流通が多い、ありふれた仕様


おそらく現在世界中で作られている時計のうち最も多く存在しているのがセンターセコンドの3針時計でしょう
歴史的には後述するスモールセコンドの後に生まれたもので、ムーブメント中央に歯車が集中するため開発当初は厚みが出てしまう傾向がありましたが、現在は開発も進んでいてセンターセコンドでも薄い機械を持つブランドは少なくありません

また、最も合理的に時分秒の情報を表示しているため瞬時での時刻の読み取りに適していて、ドレスウォッチからスポーツウォッチまで様々なカテゴリーで用いられています
欠点らしい欠点はなく、強いて言えばセンターセコンドの時計は数が多いだけに面白みに欠けるかも知れませんが、それも最も完成された仕様であることの裏返しでしかありません

C711EB55-7D6A-4496-8798-9D944A01BDDD

日本国内はおろか世界を見回しても屈指の実用性を持つグランドセイコー。クオーツ、機械式、スプリングドライブと三種の駆動方式を使い分けますが、その9割以上がセンターセコンドの時計です



スモールセコンド
メリット :時計の歴史に沿った伝統を感じられる
      シンプルすぎずアクセントのあるデザイン
デメリット:秒針が小さく正確な秒の把握が困難


センターセコンドが生まれる前、懐中時計の時代から作られていたのがスモールセコンドの時計です
伝統的な時計のムーブメントはその中央に分針を回す歯車があり、秒針を回す歯車は主に文字盤の6時側に配置されることが多かったため今でもスモールセコンドの時計は6時に秒針が付くのが慣例となっています(9時に秒針が付くパネライなどの例外もあります

古くからあるスタイルでドレス寄りのクラシックなデザインとの相性が良く、長く時計を趣味としているとその不思議な魅力に惹かれて一本は欲しくなってしまうのだとか
秒針の視認性はセンターセコンド機には及びませんが、秒針のサークルのデザインによってシンプルになりがちな3針時計の文字盤に個性を与えることができます

BC3CCB33-9F2C-4EFA-8C02-484245BB29F7
“スモセコ3針”のお手本と言えるIWCのポルトギーゼ・オートマティック40。1930年代まで遡るクラシックなデザインが丁寧に再構成されており、時計玄人の心をしっかり掴んでいます



道を究めていくと素朴なものに辿り着くという話は時計に限ったことではないですが、3針時計は文字盤に三本の針だけという単純な構成故にブランドの時計に向き合う覚悟が細かなところに表れやすいとも言われます

無駄を削ぎ落としたシンプルな時計に目覚めてしまった方はセンターセコンドとスモールセコンドのどちらが究極の時計に相応しいかTOMPKINSでじっくり比べてみて下さい