TOMPKINSブログ

針の動き

TOMPKINS 水戸
こんにちは、TOMPKINS水戸の大橋です

お客様と時計を眺めていて話題になることのひとつに“秒針の動き”のことがあります

一秒に一回動く(ステップ運針と言いますね)クォーツの秒針と違って、流れるようにスーっと動く秒針がぜんまいの時計の魅力のひとつだという方は多いでしょう

しかし同じぜんまいの時計を並べていても針の動きに違いを感じることがあります

これには大きく分けて、
①振動数の違い
②針の長さ
のふたつが影響しています

①振動数の違い
時計には時を刻むテンポ(時計を耳に近づけると聴こえるチクタク音です)の違いがあり、これを振動数やビート数などと呼んでいます。
腕時計では1秒間に5回から10回の振動をするものが多いのですが、5~6振動までがロービート、8振動以上がハイビートに分けられます
一般にハイビートになるほど時間の正確さは追求しやすくなり、その代償としてパーツや潤滑油の消耗が早くなります(もちろん定期的なメンテナンスで回復可能です)
現在では耐久性と精度追求のしやすさのバランスの良さから多くの腕時計で8振動のムーブメントが使われていますが、アンティークの時計や伝統的なつくりを目指したものなどには5~6振動が見られますね

さて、時計によって異なる振動数ですが、これはそのまま秒針の動きに直結しています
例えば、6振動なら1秒間を6回に分けて、8振動なら1秒間を8回に分けて秒針が動いていますから、ロービートとハイビートの秒針を比べるとハイビートの方がより滑らかに動くことになるんです

②針の長さ
機械の仕組みが影響している振動数と替わって、こちらはデザイン面での影響ということになります

当然のように秒を確認するときは秒針の先を見ることになりますが、同じ振動数でも針が長ければ長いほどその先端の動きは大きくなります。
(トラックの外側の人は内側の人より一歩一歩を大股で歩かないとついていけない)

ということは、時計が大きく、針が長いと秒針の動きはその刻みが分かりやすくなり、逆に小さい時計の短い秒針はスムーズに動いているように見えます


以上①と②を踏まえると、ロービートでセンターセコンドの大きい時計は秒針がパタパタと刻んでいるように見え、反対にハイビートでスモールセコンド付きの小振りな時計は秒針が滑らかに動くように見える、そういう違いが生まれることになります



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(左:IWC ビッグパイロット・ウォッチ ケース径46.2mm 6振動毎秒)
(右:BREITLING トランスオーシャン38 ケース径38mm 8振動毎秒)


どちらが時計として優れているという話ではないのですが、何気なく時計を見比べてそういった違いを味わえるようになるとまた一歩時計を深く愉しめると思いますよ