時計選びのヒント「て」

7月も半分を過ぎましたが、気温も上がり名実ともに夏となってきました
スタミナのあるものを食べて今から夏に負けないカラダ作りをしていきましょう
さて、今回の時計選びのヒント「て」に選んだのは
“ 手巻き時計の選び方 ” です
このブログをご覧の方ならお分かりの通り、機械式時計は手巻きと自動巻きに二分されます
とは言え、実際には知名度の高いブランドが集中する数十万円クラスの価格帯では自動巻きに比べると手巻きの時計はほんの僅かしか作られていません
比較対象が少ないため善し悪しを測る基準に困りがちですが、今回は手巻きの時計ならではの特徴とそれらを選ぶ際のポイントを挙げていきますよ
その①:リューズの操作性
腕に着けていれば止まらない自動巻きと違って、手巻き時計は自分でリューズを巻き上げないとそのうち確実に止まってしまいます
必然的に手でリューズを触れる頻度が高くなるので、リューズの大きさや形状など操作性が優れているか確認が大切です
BREITLING AVI REF.765 1953 リ・エディション
最近は過去の名作の復刻に力を入れているブライトリング。このモデルでは1950年代にナビタイマーと人気を二分したパイロットクロノグラフを忠実に再現しています
手巻きムーブメントに加えて経年変化したような夜光塗料やドーム型のプラスチック風防を用いるなど、過去のモデルがそのままタイムスリップしてきたような特徴が随所に確認できます
その②:巻き止まり
延々と巻き続けられる自動巻きと違って、ほとんどの手巻きの時計には “ 巻き止まり ” というゼンマイが100%巻き上がったことが分かる手応えがあります
原則使用前には巻き止まりまでゼンマイをしっかり巻き上げてから着用することになりますが、巻き止まりまでのリューズを回す回数やその手応え・感触なども把握しておく必要があります
その③:パワーリザーブ
手巻きの時計は腕に着けているだけではゼンマイがほどけていく一方なので、自動巻きの時計以上にゼンマイの持続時間(=パワーリザーブ)を知っておくことが重要となります
特に手巻きのメリットが発揮される薄型・小型のムーブメントの場合は、一般的な自動巻きよりパワーリザーブが短いものも多いので注意が必要です
Cartier サントス デュモン XL
パワーリザーブは38時間と現在の標準からするとやや物足りないかもしれませんが、ケースの厚みはわずか7.5mmしかなく、手巻き時計ならではの腕に吸い付く感触を楽しめます
リューズには往年のカルティエに見られるパールドロップの装飾が付いており、巻き心地も良好です
懐中時計の時代にさかのぼる手巻きムーブメントを載せた時計は種類こそ自動巻きより少ないものの、洗練された薄型時計や手作業を重視した伝統的な時計を好むファンのためにこれからも一定の存在感を示し続けるはずです
奥深い時計作りの世界に入り込んでいくうえで避けて通れないと思われる手巻き時計ですが、実物を手に取るときは今回お話ししたポイントも踏まえながらご検討いただきたいと思います