時計選びのヒント「ゑ」

時計選びのヒントは43文字目まで回数を数えています
今回のひと文字となる「ゑ」を「え」に読み替えて選んだのは
“ エポックメイキングな時計 ” です
画期的な、革新的な、などの意味で様々な分野に使われるエポックメイキングというフレーズ
腕時計の歴史においても、それまでの概念をひっくり返すようなものが何度か誕生して世の中(の一部の人々)に衝撃を与えてきました
今回はTOMPKINSで取り扱いのあるブランドが生んだ、時計史に名を残す名作をご紹介します
1904年 Cartier サントス
腕時計として世界で初めてデザインされたと言われるカルティエのサントスは、ストラップを固定するラグをケース本体と一体化させた点がそれまでにないものでした
カルティエはこのサントス以降、トーチュやタンクなど今に残るデザインを次々に生み出していきます
1940年頃 PANERAI ルミノール
イタリアのフィレンツェで時計販売店を営んでいたパネライは、イタリア海軍の要請を受けて潜水部隊向けのダイバーズウォッチを開発します
信頼性の乏しかった当時のねじ込みリューズに代わって登場したリューズプロテクターは耐衝撃と気密性に優れる画期的なアイデアでした
1952年 BREITLING ナビタイマー
リューズとは別に独立したプッシュボタンを設け、現在の腕時計クロノグラフを他ブランドに先駆けて完成させていたブライトリング
更にパイロットの求めに応じてそれまでは別々だった腕時計とストップウォッチ、回転計算尺の3つの計器を1つに融合し、ナビタイマーと名付けました
1985年 IWC パーペチュアルカレンダー
スイスの時計業界全体がクオーツショックからの立ち直りを模索していた80年代、IWCの時計師クルト・クラウスは既存のムーブメントに追加搭載できる永久カレンダーモジュールを設計しました
生産性に優れたこの永久カレンダーはダ・ヴィンチを皮切りに同社の複数のシリーズで販売され、機械式時計の魅力を訴え続けています
2013年 OMEGA マスターコーアクシャル
様々な電化製品から発される磁場は時計の精度に悪影響を与えます
オメガでは2008年から磁場の影響を受けないシリコンをムーブメントの一部パーツに採用していましたが、2013年に発表されたマスターコーアクシャルでは更に歯車の軸などに新開発の差材を用いてそれまでにない圧倒的な耐磁性能を持つに至りました
腕時計の歴史は20世紀初頭から始まりましたが、まずは科学技術の発達に伴って人間生活に大きな変化があり、それに呼応するように腕時計は様々な進化の必要に迫られました
そうして当時の最先端の発想の下に生まれた腕時計の一部は、その強い個性とストーリー性のおかげで現在でも多くの時計ファンの心を掴んでいます
スマートウォッチの出現で機械式時計としての進化は止まってしまうのか、それとも更なるエポックメイキングな時計の誕生が我々を驚かしてくれるのでしょうか?
機械式時計を好む側の人間としては是非とも後者に期待したいところですね